記録

現地参戦はenergyから、生誕イベント参加は2022年が初

観劇記録 - FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE

2024年2月23日(金祝)から3月3日(日)までヒューリックホール東京にて上演されていた舞台『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』観劇してきました。四半世紀以上生きてきて今まで観劇経験がなかったのですが、初めての観劇でめっちゃいい経験したな~~としみじみ思う。初観劇が推しの主演舞台という時点でもう既に最高なんですけど、内容やキャストの方々の演技もすごく良かった。ので感想とか勝手な考察だらっと書いていきます。セリフとかはうろ覚えな部分があるので違ってもご容赦ください。考察し終わってからちゃんとゲームに触れようと思ってたのでゲーム微プレイでして、そこ違うよみたいな部分があっても大目に見てください。ちなみに私は2月23日のマチネ・ソワレ、24日のマチネ、3月2日のソワレ、3日のマチネ・ソワレを観劇しています。

 


<モント・リオニス>

序盤と終盤とでのギャップがすごい。序盤はどちらかと言えば気弱で、心優しい一人の青年。王子なのでもちろん偉い立場ではあるんだけど、良い意味でも悪い意味でも人に対してフラットな印象。自分や大切な人の命を脅かす敵であればその限りではないけれど、それでも戦争よりも先に和解の手を考えるあたり本当に優しい人なんだろうなと思っている。そんな彼が戦闘を重ね徐々に『優しい青年』から『守るべきものがある王子』、そして『国を守る王』になっていく姿がすごく良くて……モントの優しさは美徳なんだけど、それだけじゃ生きていけないし、特に国を継ぐものとしては非情な判断も必要になってくる。守るために戦うことを決意したモントの凛々しい姿が本当に格好いい。いつが契機かまでは覚えてないんですけど、時間が進むにつれ序盤よりも徐々に声が低く固いものになっていって、リオニスという国を背負う唯一の存在になる覚悟がその声音からも感じられて良い表現だった。

エルデ王の最期をモントが看取るシーン、初日は声に怒りや憎悪が出ていた気がするんだけど、千秋楽では悲しみの色だけが見えて個人的には千秋楽の表現の方が好きだった。父であり王であるエルデを討ったシュテルに何も思わないわけではないだろうけど、それでも憎しみよりも先に悲しみが来るのが、立場が変われどモントの優しさは変わらないのだと思えて良かった。

個人的にいちばん好きなシーンが、マシュリーに「お願い、死なないで。絶対帰ってきて」と言われても応えない(約束をしない)ところ。殿を務める際に「死ぬなよ」と言われた時はちゃんと答えたけれど、二度目に関しては約束はできないから、ただマシュリーを案じてシュゼルトに託したのかなあと思っている。それもある種王子から王になった証のように思えた。確実に守れるわけではない約束をしないのって、上に立つ立場の人として要るスキルだと思うので……

あと演者の吉田仁人さんが左利きなのを存じているので、右手に剣を持って(ファンの贔屓目もあるだろうけど)違和感なく殺陣をしていたのがすごかった……


<シュテル・リオニス>

きっと作中でいちばんもどかしい立場だったんじゃないかなあと勝手に思っている。自身の武功を上げられないことへのもどかしさも勿論あるだろうけど、自分よりも戦闘が不得手なモントが傷つきながらも戦場に立つ姿へのもどかしさもあるんじゃないかなあ。それが何年も続けば見切りをつけたくなってもおかしくないよな……そういう意味では、どうしてもモントの優しさに目が行きがちだけど、シュテルも根本は優しくて真っ直ぐな青年だと思っている。だからこそエルデ王への「言葉にしなきゃ伝わらない思いだってあるだろ!」という叫びにも似た訴えが見ていて辛かった。

これは私の認識違いの可能性もあるんだけど、モントやエルデ王に比べてシュテルの甲冑が綺麗(あまり汚れていない)に感じる。以前ラジオで吉田さんがたしか「使用感が出るようにわざと色をくすませたりしてる」みたいなことを言ってた記憶があったので、あまり戦場に出ていないシュテルの衣服はもしかしてそういう意図なのかな、と考えている。というかそもそも、もしかしたらあの赤い衣装は戦装束ですらないのかもしれない。めちゃくちゃ勝手な印象だけど、実際戦うのであればあのゆとりのあるズボンは邪魔になっちゃうんじゃないかと思うので……やるにしても裾が広がらないように膝下くらいまでのブーツとか履きそう。でも国外の戦に出さないって言い方をされてたってことは国内でのいざこざには出陣してたんだろうし、でもそうだったら国内で旅団の騒ぎがあるときにシュテルを連れて行ってもおかしくはないし……この辺り考え出すと終わんないのでこれぐらいに留めておきます。


<マシュリー・ホルン>

最初にご容姿の話をしちゃうのあれなんですけど、マジで美人~~!遠目でももちろんお美しいんだけど、一度だけステージに近い席で見たときは本当にびっくりするぐらいお美しかった。マシュリーとモントって個人的には対照的だと思っている。優しすぎて王子らしからぬ部分もあるモントと、一国の姫としての決意を持っているマシュリー。もしかしたらマシュリーは序盤のモントにもどかしさを覚えていたのかもしれないけれど、だからこそ、違うからこそ二人は惹かれ合ったんだろうなあと勝手に思っている。一国の姫として気丈な姿を見せる裏に一人の人間としての感情が潜んでいて、モントの前ではそういう面も見せるようになっていくのがすごく良かった。

ホルン城への帰路でフェネス軍に邪魔をされシノビを殺され「覚悟はよいか!」って言うところ、初日よりも千秋楽の方が怒りと悲しみの感情が露わになっていてすごかった。初日見た際は芯のある女性という印象が強かったんだけど、そうじゃなく、マシュリーだって一人の感情がある人間で、当たり前に心配もするし怒りもする。そのいい意味でのギャップが好き。


<リリシュ>

近い席で見た時に初めて、腿と左肩に傷があることに気づいた。スカートや髪で隠れて見えにくい位置だから、正直のちのち怪我をするとかなのかなと思っちゃってたけど、ゲームのイラストで傷が多くてすごく納得した。

婚約者の訃報を聞いたシュゼルトとの掛け合いの部分がすっごく好き。「お前に何が分かる!」「ならあんたはあたしの何が分かるっていうんだい!」もそうだし、「男には引けない戦いがある」「女にだって引けない戦いはあるさ!」のところも好き。大切な人を失った悲しさも怒りも絶望も、全部が声に表れている。大切な人を喪った事実が変わることはないけれど、ムラガを討ったことで二人が何かしら救われているといいな。

モントに対し「早く王様になっちゃってよ」と言っていたリリシュ、実際モントが王になり戦ってすぐに前線に戻りまた戦う姿を見てどう思ったんだろうか。自分がいなくても一人で戦っていけるモントの姿に自分はもういらないと思ってしまったのかもしれないけれど、モントが守りたい国の中にきっとリリシュは必要な存在だと思う。だから大丈夫だよ。リリシュが望んだ争いのない平和な国にきっとモントがするし、その時にはリリシュが必要だよ。


ラマダ

お声が可愛い〜〜。聡明で戦う時も涼しげなのが印象的だった。丁寧な口調でどこか余裕のある戦い方をするラマダと、ざっくばらんな話し方で荒々しくも確実に仕留める戦い方をするリリシュって対極で、でもだからこそバランスが良くて良いコンビだなあと思っている。ラマダが初めてリリシュに会った時のことも気になる。口ぶり的にラマダはリオニス国外に元々いた人なんだと思ってるんだけどどうなんだろう……その辺りもゲームで明かされてたりするのかな。サーダリーやギルガメッシュほどではないけどラマダも舞台だけ見てる限りでは謎が多い人物なので、ゲームで改めてちゃんと知りたいなと思った。


<サーダリー・クルステア>

すごい、やばい、胡散臭いの三拍子揃ってる。口調や声音は優しそうなのに自分の目的のためならあらゆる手を尽くすタイプで正直結構好きなタイプではある。正直サーダリーに関しては『何のために』が舞台だけだと分かりづらい(ちょくちょく気になるワードは出てくるけどそれに対する説明がない)。けどこれは分かりづらいから悪いっていうわけじゃなく、あえて今回の舞台では省いている気がしてる。あとほぼ常に目を見開いていて瞬きをあまりしていないので本当どうなってるんだこの人。


<シュゼルト>

とにかく気迫がすごい。ムラガを前にしたときの叫びがもう……。婚約者の訃報を聞くシーン、初日とかは怒りを露わにしてそれをシノビにぶつけてたけれど、千秋楽前日に見た時は静かな絶望という感じがした。どっちの表現も私は好きだな。どちらもその声音だけで、シュゼルトがどれほど婚約者のことを思っていたのかが伝わってくる。

シュゼルトの仕草ってとにかく細かい。ここ数公演でやっと気づいたんだけど、エルデ王の範囲ガードみたいな技を初見だからどういうものか分からず、たしかシュゼルトだけ剣で矢を防ごうと構えてるんだよね。それ以外にもマシュリーがフェネスへ向かうことになった経緯を話す際に剣を抜くべきか迷っているように見えたり、声以外の要素でシュゼルトという人間がどう考え感じているのかが分かって良い。演者のことを考慮せずただキャラクターとして誰が好きかって聞かれたらシュゼルトとヘレナ妃の二択で迷うくらいには好き。


<オー>

最小限の動きで敵をいなしている感じがして、熟練者という感じがする。基本の型がいちばん強いみたいな感じ。シュテルよりもモントの方が剣を構える際に重心を落としているのがなんでなのか気になってたんだけど、もしかしたらシュテルはオーの型をすごく参考にしてるとかなのかなと思った。

序盤からずっと好々爺だったオーが、ヘレナ妃の死で感情を剥き出しにするの、しんどいけどいいシーンだよなあと思っている。それだけでオーが弟子のモントやシュテルだけでなく、リオニスという国をどれだけ大切に思っていたかが分かる。騎士という立場はオーにとっては身に過ぎる立場だったのかもしれないけれど、きっとモントもシュテルも剣だけじゃない大切なものをオーから学んだと思う。死地に向かう心構えだったシュテルに、生きるために戦うと笑って言ったオーはめちゃくちゃ格好良かった。


<ムラガ・フェネス>

失礼だと分かった上であえて書くんですけど、正直演者の方にあまり演技のイメージがなかったので、どんな感じなんだろうと見るまでちょっとドキドキしていた。今回の舞台でいい意味で裏切られた。ムラガの粗暴な、けれど実力に裏打ちされた威圧感はきっとこの人にしか出せない。

個人的にはシュテルとサーダリーが初めて邂逅したときの、納得いかない様子でシュテルとサーダリーの話しているのを見てるシーンが好き。あの場面はアンサンブルの方々との声無き会話も良い。

リオニスの視点からすると、ムラガのしたことは到底許せるものではない。けれどモントに討たれて最後に出た言葉が「国を、フェネスを頼む」なの、どれだけリオニスに対して蛮行をしていてもムラガは王なんだなと思わされた。自国の民や兵を思う気持ちは、性質は違えどきっとモントと変わらない。ムラガ王たる所以が最期に知れたような気がしてちょっと嬉しかった。


ギルガメッシュ

漂う強キャラ感、良。ギルガメッシュもサーダリーと同様、正直今回の舞台ではどういう存在かあまり詳しくは語られていないけれど、強大な力でその場の者たちを捩じ伏せたり、兵によっては恐怖で逃げ出すほどの威圧感があるの、登場は少ないながらもその強さが分かりやすくてすごい。一方でエルデ王の「猶予が欲しい」という言葉に耳を傾け最終的には承諾するなど、(モント達と同じ人間ではないだろうけど)少し人間らしい一面もあるのがまた良い。圧のある話し方だけど、無慈悲で無感情なわけではない。ギルガメッシュが何を考え、何のために国に属しているのかが気になる……


<ヘレナ・リオニス>

誇り高く気高い姿の裏に人間らしい、一人の母親や妻としての姿がある方だなあと思っている。兵たちの前では気丈に振る舞っていても、周りに人がいない場やエルデ王の前では泣き崩れたり、マシュリーに首を垂れて懇願する姿がとても印象的だった。私は芯のある強い人間が不意に見せる弱さにとても弱い人間なので、ヘレナ妃のことがすごく好き。余談だけど吉田仁人さんのことが好きな理由の一つもそれ。話をヘレナ妃のことに戻すと、国の中でも立場のある人間で、弱い姿を見せることは基本的に良くないので気丈に振る舞っている。それもきっとヘレナ妃の持つ一面ではあるんだけど、一方で子や夫を思う気持ちは普通の女性で、大切な人を亡くすときの辛さをすぐには飲み込めないのが好き。あと演者の方の泣きの演技がすごい。強さと弱さどちらもあるからこそ、ヘレナ妃はこんなに魅力的に見えるんだろうなと思う。

これは私の考察に過ぎないけど、ヘレナ妃とエルデ王は最初シュテルを王にするつもりだったんじゃないかと思っている。もっと正確に言うと、王を継ぐ意思と決意のある者に継がせるつもりだったと思っている。物語開始時点ではモントよりもシュテルの方が決意があった(と私は感じている)。けれどモントを見捨てるつもりもなくて、だからこそ経験値を積ませるためにモントばかりを戦場に連れ出したのかなあとか思っている。


<エルデ・リオニス>

『一人の父』である前に『一国の王』であるという意識がとても強い人だと思う。その点はヘレナ妃と対照的だと思っていて、ヘレナ妃は『国王の妻』である前に『一人の母』という方が強い印象。エルデ王はいい父ではなかったかもしれないけど、いい国王ではあったと思っている。家族を蔑ろにしているわけではないんだけど、きっとエルデ王の中では家族と国(リオニスの土地)は同じくらい重要で大切で、けれど前者についてはあまり表に出さなかったんだろうな……だからシュテルとの間に軋轢が生まれてしまって、それでも息子たちを生かすためなら自分は恨まれてもいいとすら思っているの、めちゃくちゃ親の愛だよな……きっとモントとシュテルは跡取りが二人以上いると国が滅ぶ原因になるってこと、物語開始時点では知らないんじゃないのかな。モントとシュテルに何の引け目もなく健やかに生きてほしくて、ヘレナ妃と相談して決めたんじゃないかな。だからこそ二人はあんなに真っ直ぐで優しい子たちに育ったんだろうな、とか思いを馳せてたら今泣きそうになってる。さっきいい父ではなかったかもしれないって書いたけどそれはあくまで息子視点の話で、物語に介入せず神視点に近い形で見ている我々観客からすると十分すぎるほどいい父だし、それが伝わらないもどかしさもあるし……ちょっとこれ以上書くとメイクが崩れそうなのでこの辺りにしておきます。

あと最後にキャストが出てくるところでエルデ妃をエスコートしている姿は、本編では垣間見ることしかできなかった平和なリオニス家という感じがして個人的にすごく好き。モントとシュテルが成人するちょっと前くらいの平和なリオニス家番外編待ってます。言うだけならタダの精神。


<アンサンブル、全体を通して>

アンサンブルの方々の動きが本当にすごい。一人何役もこなすし所属する組織によっては特徴的な(具体的には片手を後ろに回しているクリスタル教会の僧兵とか)戦い方をしているのが本当にすごい。殺陣って当たり前だけど両者の息が合わないとうまくいかないと思うんだけど、その辺りの合わせ方がさすがプロ……どこの兵もすごく良かったんだけど特に、リオニス兵の先駆けと殿がちゃんと周りを警戒しているのと、ムラガの側近の兵が表情豊かで印象的だった。

舞台セットも良かった。今回結構必要最低限のオブジェクトだけだった印象なんだけど、プロジェクトマッピングとかで場面の転換や場所を暗に知らせるのがすごい仕組みだった。いまだに一階部分の扉にも壁にもなるやつ意味わからん。なんとなく仕組みは分かるけどそれをあの早業でやるのが意味わからん(褒めてます)。あと登場人物のほとんどのお衣装の裾が長めなので、階段、特に降りる時にめっちゃ映える。衣装の質感も安っぽいコスプレ衣装とかじゃなく、ちゃんと身を守るために重厚感のあるもので、それでいて使い込まれたくすみとかもあって、世界観を作り出すために手を抜かない姿勢が伝わってくる。それからやっぱり音楽が良〜〜。うまく言い表せなくてもどかしいけど、FINAL FANTASYの名を冠するには欠かせない良曲ばかりだった。ウェズエットへ向かうときの行軍の曲特に好き。あの弦楽器の音いいよね。

 


最終日までキャストの皆様が誰一人欠けることなく駆け抜けられたこと、本当に嬉しく思います。そしてその場に立ち会えたこともすごく嬉しいです。終わっちゃうの寂しいよ〜〜!

推しの吉田仁人さんの話をちょっとだけします。稽古が始まってからとにかくずっと大変そうで、それでも疲れた様子を表にはほとんど出さなくて、楽しそうで、そういう姿にめちゃくちゃ救われてました。吉田さんが頑張ってるから私も仕事頑張ろうって思えたし、平日乗り切ったら舞台がある!って思いながら生きてこられた。私はそもそもM!LKの存在に命を救われてるんですけど、今回の舞台も同じくらい救われて、大切で、本当にかけがえのない経験ができました。改めてこの舞台に携わられた全ての方々に感謝を。

正直、見に行くまでは不安だった。今まで生きてきて舞台の観劇経験がなかったから。調子に乗って何公演もチケット取ったけど、ぶっちゃけ話の大筋は変わらないじゃん。演者の歌とかアドリブで遊ぶみたいなゾーンも基本的にはない真面目なストレートプレイ。だから正直二公演目以降は見ていても飽きるタイミングがあるだろうなって思っていた。けど、毎回ちゃんと引き込まれて、毎回ちゃんと発見があって、本当に今回行って良かった〜〜と毎回心の底から思えた舞台だった。初めての観劇、推しの初めての主演舞台、いろいろ初めてだらけで楽しかったな。あとペンライト持っていかない現場が新鮮だった。またこういう機会があるといいなと思っています。素敵な舞台をありがとうございました。